“etoy. VALUE-SYSTEM” 2001

少し前になるが、etoy というモダン・アート系ドットコム企業の方々が、ICCミュージアムの展示で来日していたのだけど、空いている時間だったこともあって、そこのCEOのZAIと1時間程話した。

etoy は、スイスで正式に登記されている会社法人である。アートマーケット向けの株式を発行し、価値を創造し、株主総会を開き、配当を与える。メタファーではなく、実際に株式会社として活動している。一般的な企業との最大の違いは、彼らが想像するのは、金銭価値ではなく文化価値と言うことだ。CEOのetoyZAIは「アンディ・ウォーホールは工業社会のメタファーを用いて、自分のアート制作組織を”ファクトリー”と呼びました。etoyは情報社会のメタファーでいえば、アート界の”インヴェストメント・バンク”なのです」と語っている。

(パンフレットより抜粋)

展示も、解釈も含めて、なかなか面白かった。直接批判しない批判というのは説得力をもちうるし、対象が資本主義であれば小難しくも成りがちなのだけれど(勿論、批判しているわけではない)、作品も彼らのアティテュードは共感するところがあった。連絡先を交換するなどしたので、何か面白いことが出来れば良いな。

Hackers In The Movie

ハッカーが出てくる映画が好きだ。映画の中で戯画化されたテクノロジー・ギミックとアウトサイダー的なハッカー像が好きだからだ。先日、新宿Swordfish という映画を見た。ジョン・トラボルタ(John Travolta: Pulp Fiction ですっかり今最も重要なハリウッドイコンの一人に返り咲いてしまった) がカリスマ的悪役を演じていて、ヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman: 映画版X-MEN で爪の出るミュータントを演じていた人。最近では一押し!) が天才ハッカー役を演じている。映画の内容は、難しいこと抜きで、娯楽大作として充分楽しめるものだった。(あまり日本の広告は信じないほうが良いかも。)

「128Bitの暗号くらいちょろい」とか「512Bitならなんとか破れる」とか「1024Bitは俺にもムリだ」とか、なんかこう、釈然としないような、それらしく聞こえるような台詞回しとか、妙にハイテクで未来的なGUIを持ったメインフレーム端末とか、これまたSGIが作ったのかっていうくらいのウィルス合成プログラムとか、もう期待通りのギミックで大満足だった。

思いつくハッカー的なキャラクターが出てくるな映画としては、”Sneakers”、”JM(これはだいぶサイバーパンクだが。都市デザインは、Robert Rongo!)”、”Matrix(これもだいぶ飛んでるなあ)”、”Virtual Wars”、”The Fly”、”Independence Day” などがある。古くは、”War Game”などもそうだ。誰がなんと言おうと、これらの作品達にはある種のテクノロジー幻想的な風情がある。

一番無茶をしたのは、多分、”Independence Day”のJeff Goldblumだ。”The Fly”の科学者と同一人物だったりして趣深いのだけれど、半導体(“ROHM”だったかな?)のCMにも抜擢された彼は、Apple の PowerBook でワイヤレスでエイリアンの宇宙船にウィルスを感染させた(クロスボーン・フラッグまであげた!)。数日間で、エイリアンの使うシステムのネットワークプロトコルを解析した上に、ウィルスを作ってメインフレームをハッキングしてみせたのだ …。

映画の中のコンピュータって Mac が多いような気がする。”MI:2″で指示出ししていた人(Anthony Hopkins?)も、背中のリンゴマークを黒くペイントした PowerBook G3 ’99年モデル(多分、500Mhz。ひょっとしたらクロックアップしているかも知れない。)を使っていたと思う。

因みに、”Swordfish” では、Dell のノートPCを見かけた(スポンサーなのだろうか?)。

こういった、テクノロジーが程よい小道具として使われる映画の面白さというのは、その(映画が撮られた)当時の実際の技術水準と、ハイテクへのパブリックイメージ、それに加えてそれらがスタイリッシュに見えるための脚色のバランスの上に成り立っていると思う。だから、その当時の社会の雰囲気をそこから推し量ることも出来るし、脚色が強いSF映画であれば、デザイナーの趣向を垣間見ることが出来る。

“Swordfish” はそういった意味でもまたお気に入りの映画になった。現実と近からず、遠からず、どちらかと言えば遠めに、スタイリッシュに、というのが最適なバランスなのかな、と思いつつ。